東芝は,4~5㎜幅のテープ形状のイットリウム(Y)系高温超電導線を,3次元形状に自動で巻線可能な製造技術を開発した。今回,この技術により,重粒子線がん治療装置で使用される炭素イオン用加速器の偏向マグネット向けを想定し,世界で初めて全長400㎜の鞍型コイルを製作し,設計通り0.1テスラの磁場を発生することを実証した。
MRI等で実用化されている低温超電導機器は,液体ヘリウム温度(-269℃)に冷却して使用する必要があるが,高温超電導技術は,液体窒素温度(‐196℃)で利用することができる。Y系高温超電導線は,セラミクス膜で構成されているため,3次元形状のコイルを実規模で製造することが困難だった。
今回確立した製造技術は,科学技術振興機構の戦略的イノベーション創出推進プログラムのなかで開発した巻線基本技術を応用したもので,テープ形状の高温超電導線を3次元形状に巻線する技術を自動化し,実規模のコイルを実現したもの。
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