理研、肺がんのリスクと予後を予測する新規バイオマーカーの発見

理化学研究所、横浜市立大学、神奈川県立がんセンターは、細胞の防御反応に関わるNRF2遺伝子の一塩基多型(SNP)を調べることで、肺がん患者の予後と女性非喫煙者の肺腺がんリスクを予測できる可能性を臨床研究によって見いだした。

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肺がんによる死亡者数は世界中で年間137万人にのぼり、がん死の中で最も多く全体の18%を占めている(2013年WHO「Fact sheet」より)。日本でも肺がんは全がん死の19.7%を占め、男女ともに全がん死の中で最も多い死因であり(国立がん研究センターがん対策情報センター「2009年最新がん統計」より)、早期発見や治療法の開発が課題となっている。

共同研究グループは、インフォームドコンセントを得た387人の肺がん患者の血液試料からゲノムDNAを抽出し、遺伝子多型解析を実施した。NRF2遺伝子のSNP(-617C>A)と肺がん患者の治療後の臨床データとの関係を調べた結果、SNPホモ接合体(-617A/A)を持つ肺がん患者は、肺がんの外科手術後の5年生存率が良好と分かった。

一方、SNPホモ接合体(-617A/A)を持つ女性非喫煙者では肺がんの一種である肺腺がんになるリスクが男性非喫煙者よりも高いことも分かった。これらの予後とリスクには、それぞれ別のがん遺伝子が関わる可能性も遺伝子多型解析から示唆された。

以上の結果から、NRF2遺伝子のSNP(-617C>A)は、肺がんの予後と非喫煙女性の肺腺がんリスクを予測するための臨床上有用なバイオマーカーと考えられる。今回の成果は、肺がん患者の個別化医療における新しいアプローチとなる。

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