ナノフォトンは,光の回折限界を超える空間分解能を達成した先端増強ラマン散乱顕微鏡「TERSsense」と,高速ラマンイメージング機能を搭載した,広い視野と深い焦点深度を実現した広視野ラマンスコープ「RAMANview」を開発した。
このうち,TERSsenseは通常のラマン顕微鏡と原子間力顕微鏡(AFM:atomic force microscopy)を組み合わせた装置で,AFM用のカンチレバー探針に金属薄膜を蒸着コートしたプローブが用いられている。
ラマン顕微鏡にAFMを組み合わせた装置はすでに市販されているが,増強効果を発揮するためにはプローブの製作にノウハウが必要とされるため,再現性と増強効果を保証する装置は市販されていない。この新型ラマン顕微鏡は,大阪大学河田研究室・フォトニクスセンターの研究成果の技術移転によるもので,河田研究室が持つプローブ製作技術を活用することで,再現性と増強効果を保証する。
一方,RAMANviewは,cmオーダの範囲のラマンイメージングを実現した,新しいレーザラマン顕微鏡だが,深い焦点深度を有するとともに,従来のラマン顕微鏡が苦手とする表面が凸凹したサンプルやカーブしたサンプルでも,ピント合わせを気にせずイメージングが可能。今回,ナノフォトンが開発した高速ラマンイメージング機能により,最大2.5cmの広視野と1mmを超える焦点深度という特長を維持しながら,ラマンイメージングに必要な測定時間を大幅に短縮した。
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