理研と東大、腸管粘膜の異常増殖に関わるタンパク質を発見

理化学研究所と東京大学は、腸管上皮細胞において、細胞内タンパク質輸送因子「AP-1B」が正常に機能しないと、腸管粘膜の異常増殖が引き起こされることを発見した。

130826riken1

共同研究グループは、上皮細胞で特定のタンパク質を輸送し局在させる因子AP-1Bに着目。AP-1B遺伝子を欠損させたマウスの小腸を調べたところ、その重量が3倍になり、腸管上皮細胞が過剰に増殖していることが分かった。さらに詳しく調べてみると、AP-1Bが欠損しているため、通常であれば腸管上皮細胞の体内に面する細胞膜に局在する細胞接着分子E-カドヘリンが、細胞内に蓄積していた。

その結果、細胞間接着と細胞増殖に関わる分子であるβ-カテニンとE-カドヘリンが形成する複合体が不安定になり、β-カテニンが細胞質から核内に移行することで腸管上皮細胞が過剰に増殖することを見いだした。

今回の研究成果からAP-1Bが腸管上皮細胞のタンパク質局在機能と増殖を制御していることから、腸管上皮細胞のがん化との関連が今後明らかになるものと期待できる。

詳しくはこちら