東北大、膵炎の新しい原因遺伝子を発見

東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野准教授の正宗淳氏とドイツミュンヘン工科大学、アメリカ合衆国ボストン大学らの国際共同研究グループは、若年で発症する膵炎の新規原因遺伝子として、膵消化酵素の一種であるcarboxypeptidase A1(カルボキシペプチダーゼA1)(CPA1)遺伝子変異を同定した。

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膵炎の原因はアルコール性が最多だが、2割弱の症例は原因不明。原因不明の膵炎のうち、特に若年発症の症例の多くは遺伝子異常が背景にあると考えられている。これまで膵炎の原因となる遺伝子異常として、膵消化酵素であるトリプシンの働きに関係するものが報告されていたが、大部分の症例では原因遺伝子異常が明らかではなかった。

CPA1は膵臓の消化酵素のうち約17%を占める、タンパク質分解酵素。今回、CPA1遺伝子変異が全く異なるメカニズムにより膵炎を発症することが明らかとなった。この研究はCPA1遺伝子変異が若年性膵炎の原因であることのみならず、この変異により、変性したタンパク質が作られて膵臓の細胞にストレスを与える結果として膵炎を発症することを初めて示した。この発見によって、膵炎の病態の解明と新しい治療法の開発が期待される。

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