阪大と住友電工,ダイヤモンドよりも強い原子間結合力を有する物質を発見

大阪大学大学院基礎工学研究科助教の谷垣健一氏,准教授の荻博次氏と草部浩一氏,住友電気工業博士の角谷均氏(大阪大学客員教授)らの研究グループは,双晶という欠陥を大量に導入したナノ双晶多結晶ダイヤモンドが,通常のダイヤモンドよりも強い原子間結合力を有することを発見した。

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物質は、それを構成している原子が、おびただしい数のバネによって3次元的に繋がれてできており,原子と原子をつなぐバネのバネ定数(原子間結合力)が大きいほど,その物質の結合力は大きく,変形しにくくなり,ダイヤモンドは最も高いバネ定数をもつ。ダイヤモンドを超えるバネ定数をもつ物質は世界中で長い間探究されてきたが,その例は見出されていなかった。

研究グループは,高温・高圧の特殊な条件下で合成したナノ多結晶ダイヤモンドが,通常のダイヤモンドを超えるバネ定数を持つことを発見。このダイヤモンドには,多量の双晶と呼ばれる欠陥が存在するが,この特殊な欠陥部分のバネ定数が逆に非常に大きくなることを理論的に見出した。

合成したナノ双晶多結晶ダイヤモンドは,数ミリ角と小さく,通常の方法ではそのバネ定数を測定することができない。そこで研究グループは,レーザ光を用いて,直径50μm,奥行き5μm程度の領域だけを鳴り響かせ,また,その音色を別のレーザ光で正確に「聞き取る」,という技術を開発した。

これにより,不定形なナノ双晶多結晶ダイヤモンドの一部だけを鳴り響かせ,正確にバネ定数を測定することができるようになった。鳴り響かせる音の波長は90nmで,可視光の波長よりかなり短い。この測定の結果,通常のダイヤモンドのバネ定数を確実に超える値が観測された。

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