東大ほか、海底土セシウム137の濃度が局所的に高いアノマリーを発見

東京大学生産技術研究所特任准教授のソーントン ブレア氏らの研究グループは、海上技術安全研究所、九州工業大学と共同で実施した曳航調査の結果、福島第一原子力発電所の20km圏内および阿武隈川の河口付近で海底土のセシウム137の濃度が局所的に高い状態にあるアノマリーを発見し、広域に渡るアノマリーの分布調査に初めて成功した。

調査には、東京大学生産技術研究所が開発した曳航式放射線計測装置を用い、福島県・宮城県・茨城県において、総距離約400kmの海底土のセシウム137の濃度を連続的に計測した。

従来の手法では、セシウム137の海底濃度を細かく捉えることができていなかったが、福島第一原発の20km圏内において140km以上の距離を連続的に計測した結果からは、海底の凹み地形において、セシウム137の濃度が周辺海域の数倍高い状態にある場所が確認され、その範囲は狭い場所では数10m、広い場所では数100m程であり、セシウム137の濃度が海底地形に影響されていることが明らかになった。

同様に、仙台湾において220km以上の距離の海底土のセシウム137の濃度を調査した結果、阿武隈川の河口付近で、2km程度の範囲に亘ってセシウム137の濃度が周辺海域より数倍高くなっている場所をマッピングすることに成功した。

今後の対策を検討する上で、アノマリーの分布、濃度変化、移動の理解は不可欠である。このため、福島県沖と仙台湾において継続的にマッピングを実施し、アノマリーの移動、大きさや濃度の変化を把握することで、セシウム137の沿岸域での移動の予測に役立つデータが取得できると期待される。

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