理研、嗅覚の鋭敏さを生み出す新規分子「グーフィー(Goofy)」を発見

理化学研究所は、匂いを受容する嗅細胞に存在し、嗅覚機能の鋭敏さに必要なタンパク質を発見した。

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研究チームはマウスを用い、鼻腔内の嗅上皮に存在する膜タンパク質・分泌タンパク質群をコードする遺伝子の網羅的解析を行い、12種類の新規遺伝子を発見した。その中の1つの遺伝子からできるタンパク質は嗅細胞に発現し、細胞内の物質輸送などを司る小器官であるゴルジ体に局在していた。研究チームはこのタンパク質を「グーフィー(Goofy)」と名付けた。

グーフィー遺伝子を欠損させたマウスでは、匂い分子をキャッチする嗅繊毛(きゅうせんもう)が短くなり、また匂いの情報を神経の電気信号へと変換する過程に必須な酵素「アデニル酸シクラーゼⅢ」が嗅繊毛で減少していることが分かった。また、マウスの天敵であるキツネの匂い(TMT)をグーフィー遺伝子欠損マウスに嗅がせると、高濃度のTMTに対しては正常マウスと同様にすくんだり、匂いのある側を避ける忌避(きひ)行動を示したが、低濃度のTMTでは忌避行動が見られないという異常が観察された。これらの結果からグーフィーは動物が匂いを鋭敏に感知するのに必須なタンパク質であることが明らかとなった。

生命活動に重要な役割を果たす嗅覚だが、視覚障害や聴覚障害と比べると、嗅覚の障害は原因の究明が遅れている。匂いに対する鋭敏さを調節するグーフィーの発見は、嗅覚障害の分子メカニズムを解明する手掛かりになると期待できる。

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