名古屋大学は,工学研究科,医学研究科,理学研究科,医学部付属病院先端医療・臨床研究支援センター等からなる全学組織の新センターとして,「プラズマ医療科学国際イノベーションセンター」を8月1日に組織した。プラズマ医療科学を先導するセンターとしては国内初となる組織。センター長には同大工学研究科教授の堀勝氏が就任する。
最近,大気圧下でも常温のガス温度を有するプラズマが開発され,プラズマをバイオや生体に照射することが可能になった。これにより,プラズマ照射が病原菌の殺菌,癌細胞のアポトーシス(細胞死)誘起,さらには皮膚疾患や傷病組織の治癒や再生にも有意な効果を示す実験結果が報告されている。同大では常温常圧でのプラズマで卵巣癌細胞を選択的に死滅させたり,プラズマ照射によって合成したプラズマ培養液によって脳腫瘍を選択的に死滅させるといった成果を上げている。
同大は53年にわたるプラズマ研究の歴史があり,現在も最先端の研究が行なわれているが,プラズマ医療の領域を世界的に戦略的に先導することが急務であり,プラズマプロセスの研究者と,生物/医学領域の研究者が有機的に連携できる組織を構築するスキームを作るために今回のセンター設立に至った。
プラズマで卵巣癌細胞を死滅 堀・関根研究室
プラズマにより体液,組織液,培養液を抗がん剤に(プレスリリース)