九州大学大学院医学研究院教授の住本英樹氏らの研究グループは、好中球が病原菌に向かって真直ぐに移動(遊走)するためには、mInsc(エムインスク)という細胞内のタンパク質が必要であることを世界に先駆けて見いだし、さらにmInscが働く分子メカニズムを明らかにした。
研究グループはまず、mInscを持たない好中球を作出し、この好中球は病原菌に由来する走化性因子によって運動性は高まるものの、そこに向かって真直ぐに動き続けることができないこと(運動の方向を維持できないこと)を発見した。すなわち、好中球が遊走する時に形成された前後軸(前後方向の細胞極性)を正しく維持するのに、mInscが必要なことを見いだした。
また、好中球は細胞に形成された前後軸(前後方向の細胞極性)を正しく維持するのに、mInscが必要なことも見いだした。さらに、好中球は細胞膜にある受容体タンパク質(レセプター)を使って走化性因子を感知するが、mInscが受容体タンパク質と細胞内の極性維持装置をつなぐ働きを持っていることも明らかにした。
この研究は、病原菌から体を守るしくみを深く理解しそれを応用するための基礎となるもの。
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