東京農工大など、パーキンソン病様のカイコを発見

東京農工大学女性未来育成機構講師の天竺桂弘子氏と、情報・システム研究機構ライフサイエンス統合データベースセンター特任准教授の坊農秀雅氏を中心とする研究グループは、カイコの大規模遺伝子解析手法を開発・応用し、カイコ変異体系統の1つに人間のパーキンソン病と似た特徴があることを発見した。パーキンソン病では、症状の進行に伴って血液中の尿酸量が減少することが報告されているが、その理由はこれまで不明だった。

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今回、東京農工大学、ライフサイエンス統合データベースセンターが中心となり、遺伝子の機能アノテーションが未解明な生物種であるカイコのDNAマイクロアレイのデータの解析手法を構築した。またカイコ変異体系統の供給、DNAマイクロアレイ解析、それに続く遺伝子機能解析を九州大学、東京大学、農業生物資源研究所、明治薬科大学の各機関と連携して遂行し、パーキンソン病の原因遺伝子が尿酸代謝に関与している可能性を見出すことができた。

東京農工大学およびライフサイエンス統合データベースセンターのグループはカイコ遺伝子発現大規模解析手法“カイコ遺伝子機能アノテーションパイプライン”を開発し、パーキンソン病の症状に似た特徴があり、なおかつ尿酸代謝系に異常を持つユニークなカイコ変異体系統のDNAマイクロアレイデータを解析した。

その結果、このカイコ変異体系統ではパーキンソン病原因遺伝子の1つが尿酸代謝を制御している可能性が示唆され、これまで知られていなかった尿酸代謝調節機構を発見した。この成果はパーキンソン病の病態進行メカニズムの解明に役立つだけでなく、カイコ変異体がパーキンソン病モデル動物として医薬品開発研究で応用できる可能性がある。

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