岡山大、人間の視聴覚統合脳機能の空間特性に違いがあることを発見

岡山大学大学院自然科学研究科教授の呉景龍氏の研究グループは,水平面の全方位における視聴覚相互作用について検討し,前後,左右の水平面 4 方向の聴覚刺激が視覚の判断に及ぼす影響の違いについて初めて明らかにした。

視聴覚統合とは,視覚・聴覚情報の同時処理による正答率の向上,反応時間の短縮などの効果が表れる現象のこと。視聴覚の統合と相互作用について数多くの研究が行なわれているが,脳内の視聴覚統合のメカニズムは完全には解明されていない。

今回,前後,左右の4 方向の平面全体の視聴覚統合の脳波実験を行なった。その結果,左右2 方向の視聴覚統合効果が前後2 方向の視聴覚統合より低く,前方の視聴覚統合が後方の視聴覚統合より早くなったことを明らかにし,水平面全体4 方向からの視聴覚統合間にも有意な差がみられることを発見した。

近年,日本の自動車事故による死亡者数は減少傾向にあるが、急速な高齢化に伴い,高齢者の交通事故件数は増加傾向である。この研究成果により,前後2 方向の聴覚感受性は左右2 方向より強いことが明らかとなり,最適な自動車の聴覚警告システムを確立することが期待される。

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