京都大学理学研究科博士課程学生の麻生亮太郎氏、化学研究所助教の菅大介氏、教授の島川祐一氏、教授の倉田博基氏の研究グループは、超高分解能走査型透過電子顕微鏡を用いて、ぺロブカイト構造遷移金属酸化物ヘテロ界面において、酸素八面体を構成する酸素原子の可視化により界面での格子歪みの様子を直接観察することに成功した。
GdScO3基板の上に成膜したSrRuO3とのヘテロ界面に着目し、走査型電子顕微鏡を使った環状明視野(ABF)法による観察から、酸素原子を含めた全原子を可視化してその正確な位置を決定。その結果、このヘテロ界面において、酸素原子の位置のみがわずかにずれて、酸素八面体の連結角度を変化させることで、わずか4格子単位(約1.6ナノメートル)の厚さの界面領域でGdScO3基板とSrRuO3の結晶格子の歪みの違いが吸収されている様子を明らかにした。
この成果は、ヘテロ界面での新しい機能特性の解明へ向けて重要な評価技術を確立しただけではなく、今後の新たな機能特性発現へ向けた新規界面構造の設計や、格子歪みの制御へと発展するもの。また、機能性酸化物材料をはじめとして、将来のエレクトロニクスやスピントロニクス分野における新材料を開発する上での物質開発へも大きく貢献する成果である。
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