東北大、ドームふじ基地が地球上で最も天体観測に適した場所であることを発見

南極天文コンソーシアムでは国立極地研究所のドームふじ基地に大型望遠鏡を建設するための技術開発と天文学的な観測条件調査を行なっている。その中で東北大学の天文グループはドームふじ基地に口径2.5mの赤外線望遠鏡を建設する計画を立てている。昨年から今年にかけての第54次日本南極地域観測隊に東北大学から隊員として2名参加し、大気の揺らぎを表す天文指標のシーイング(星のまたたき)を観測し、ドームふじ基地が地球上で最も天体観測に適した場所であることを発見した。

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地球の大気は地球規模の大気の循環・上空の風の影響・日射の影響・地表面との摩擦等によって常に温度ムラが生じている。温度ムラによって天体からの光は揺らぎ、ぼやけて観測される。このぼやけた星の直径(正確には半値全幅)の大きさを「シーイング」と定義し、角度の単位で表す。シーイングは「接地境界層」と呼ばれる地表面との相互作用によって生じる温度ムラと、それより上空の温度ムラを原因とする「自由大気」の2つの成分に分けることができる。

研究グループではドームふじ基地に雪面からの高さ9mの天文観測架台を建設することで接地境界層の影響を受けていない、ドームふじの自由大気シーイングを測定した。シーイングを観測する装置は東北大学で開発した。

観測結果からドームふじの自由大気シーイングが0.2秒角程度であり、接地境界層の高さは11mと同程度であることが判明した。0.2秒角の自由大気シーイングはこれまで地球上で観測された最も小さな値。また接地境界層の高さが11mと同程度に薄いことから、0.2秒角の自由大気シーイングは雪面から僅か10数m上空で得られる事も判明し、南極天文コンソーシアムで推進する望遠鏡の建設にとって極めて有利な条件であることが示された。よって今回の観測からドームふじ基地が地球上で最も天体観測に適した場所であることが示された。

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