北海道大学大学院薬学研究院教授の松田 正氏らは炎症応答を担う重要な炎症性サイトカイン TNF-αによる炎症応答を調節する分子として、RNA 結合タンパク質として知られている「Y14」を同定した。
生体は病原体や毒素の侵入により、炎症応答が惹起される。炎症応答は、血管透過性の亢進や、白血球の遊走、血漿などの防御因子による血液凝固系の促進などを演出し、全身への病原体や毒素の拡散を防ぐ。このような炎症応答は生体防御の一翼を担う一方、過剰で持続的な炎症応答は自己組織の傷害をもたらし、がんや自己免疫疾患の発症へとつながる。
Y14 は TNF-αシグナル伝達因子 RIP1、TRADD と相互作用し、両者の結合を増強することで、その下流の炎症関連の転写因子 NF-κBの活性化を亢進する、新たな NF-κB 制御因子であることがわかった。Y14 タンパク質を分子標的したがんや自己免疫疾患の新しい薬の開発が期待できる。
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