奈良先端技術大、酸化のストレスから酵母を守るカギの酵素「Mpr1」の構造と反応機構を解明

奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室教授の高木博史氏らのグループは、活性酸素による酸化ストレスから酵母を防御する新発見の仕組みの中で、重要なカギとなるタンパク質分子「アセチル基転移酵素Mpr1」の立体構造を明らかにした。また、得られた立体構造の情報をもとに、精製した酵素を用いた試験管内での実験や変異型の酵素を発現する酵母についての解析などを行ない、Mpr1の反応機構や細胞内での機能を解明した。

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この研究によって、Mpr1のユニークな基質認識や活性制御の分子機構を明らかにするとともに、Mpr1が関与する酵母の抗酸化メカニズムへの理解を深めることができる。また、より高い活性や安定性を有するMpr1の分子設計が可能となり、発酵プロセスで酵母が受ける酸化ストレスへの耐性が向上し、発酵能が飛躍的に向上した産業酵母の育種への応用が期待される。

さらに、Mpr1の遺伝子は多くの真菌(酵母、カビ)に保存されているため、立体構造をもとにMpr1の活性や機能を特異的に阻害する化合物を設計することで新たな抗真菌薬の開発につながる可能性がある。

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