長崎大、免疫抑制剤FK506がAutophagyを活性化し、プリオン病の進行を遅らせることを発見

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染分子解析学分野准教授の新竜一郎氏、教授の西田教行氏、大学院生の中垣岳大氏らの研究グループは,免疫抑制剤として移植時などに頻用されるFK506(別名tacrolimus)が、Autophagy(細胞内のタンパク質や細胞小器官を分解する上で重要な働きを果たしている細胞機構の一種)を活性化することを見出し、それによってプリオン感染細胞において蓄積している異常型プリオンタンパク質を減少させることを明らかにした。

さらにプリオン感染モデルマウスにFK506を投与すると、潜伏期の延長が観察され、それらのマウス脳においてもAutophagy関連遺伝子の発現が増加し、また発症前の脳組織では異常型プリオンタンパク質がやはり減少していることを確認した。

一方Autophagyとの関連性において不明な点は残るものの、通常プリオン感染脳で観察されるミクログリアの活性化や海綿状変性がFK506投与群では有意に抑制されていることも判明した。

これらの結果はFK506がプリオン病を始めとする神経変性疾患において異常型プリオンタンパク質のような凝集タンパク質を、Autophagyを活性化することにより減少させ、神経変性の進行を遅らせることができる可能性を示すもの。

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