東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)助手の藤枝氏、主任研究者のカデムホッセイニ氏らのグループは、ハーバード大学などと共同で、生体内の「基底膜」と呼ばれる薄膜を人工的に作成することに世界で初めて成功した。
基底膜は細胞が集まり組織化する際に必要な足場となる存在で、人工基底膜の実現により立体的で階層的な組織を作成することが可能となる。
研究グループは、汎用的なプラスチック素材(ポリスチレン)と極細炭素繊維(カーボンナノチューブ)を用いて、厚さ 40nmの極めて柔らかいナノ薄膜(ナノカーペット)を実現し、これを人工基底膜として応用した。
この薄膜はカーペットのように巻くことも可能なため、血管や消化管のような管状の組織を形成することもできる。実際にナノカーペット上で筋肉細胞を育てると、天然の筋肉に見られる高度な配向構造が得られ、数層巻きつけることで環構造を形成することに成功した。
ナノカーペットは、事故や病気で失われた生体組織の再生や移植のための臓器を作成する際の足場材料としての応用が期待される。
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