理研、“土に還る”バイオマスの分解・代謝評価法を構築

理化学研究所は、環境・バイオマス試料の多角的な分析ツールを駆使して「土壌微生物生態系によるバイオマス分解・代謝評価法」を構築し、リグノセルロースの複雑な立体構造(高次構造)の違いが、土壌微生物群の共生による「共代謝反応」へ大きな影響を与えることを解明した。

130621riken1

研究チームは、稲わらのリグノセルロースを粉砕してその高次構造を変化させ、微生物反応場に与える影響について調べた。そのために①リグノセルロース構造や組成を解析する一次元および二次元固体核磁気共鳴(NMR)法や赤外分光(IR)法の各種計測データ、②示差熱・熱重量測定(TG/DTA)法により解析した熱分解特性データ、③溶液NMR法と濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法による微生物生態系の変動データを、本研究チームが開発した「ECOMICSツール」で総合的に評価する「土壌微生物生態系によるバイオマス分解・代謝評価法」を構築した。実際に解析した結果、バイオマスの持つ高次構造が、分解代謝の経路やそれに関わる微生物生態系に大きく影響を与えることが分かった。

今回開発した評価技術は、廃棄物系バイオマス処理を応用した生分解浄化システムなど、産業技術において応用可能。また、土壌生態系における生物-生物間、生物-微生物間の相関関係と摂餌行動への影響、土壌-海洋間での栄養成分の循環系など、現在注目を集めている共生関係を基礎とした環境代謝分野の解析技術としても貢献できると期待できる。

詳しくはこちら