慶応大、プロバイオティクスによる腸炎抑制機構を解明

慶應義塾大学医学部消化器内科准教授の金井隆典氏らの研究グループは、同医学部微生物学・免疫学教室教授の吉村昭彦氏、米国ミシガン大学医学部博士の鎌田信彦氏、順天堂大学医学部免疫学講座准教授の八木田秀雄氏、独国ドレスデン工科大学医学部教授のAxel Roers氏、東京医科歯科大学難治疾患研究所教授の樗木俊聡氏らとの共同研究により、消化管内の細菌叢を改善する微生物・プロバイオティクスとして知られるクロストリジウムブチリカムMIYAIRI588株が、大腸粘膜のマクロファージから炎症抑制性サイトカインであるインターロイキン-10(IL-10)を強力に誘導して大腸の炎症を抑制することを、マウスを用いた研究で明らかにした。

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この菌株によりIL-10 を産生する細胞を調べたところ、腸管粘膜に浸潤するマクロファージであることを発見した。さらに、マクロファージのみからIL-10 が産生されないようにしたマウス(IL-10FL/FLlysMCre+マウス)を用いて腸炎の改善効果を検討したところこのマウスでは本菌株を投与しても腸炎は抑制されなかった。これは、マクロファージからIL-10 が産生されなかったことが原因と考えられ、本菌株によって誘導されたIL-10 を産生するマクロファージが、直接腸炎を抑えていることを裏付ける画期的な結果。

 

この研究成果によって、本菌株を用いた炎症性腸疾患に対する、より安全性の高い、より安価な、新しい治療戦略や予防法の開発が期待される。

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