産業技術総合研究所生物プロセス研究部門首席研究員(兼)生物共生進化機構研究グループ 研究グループ長の深津武馬氏、環境生物機能開発研究グループ主任研究員の菊池義智氏らは、韓国釜山大学と共同で、ダイズなどの農作物の害虫として知られるホソヘリカメムシの成長や繁殖に有益な影響をあたえる腸内共生細菌が、ポリエステルであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を宿主と共生している時に細胞内顆粒として蓄積すること、その細胞内ポリエステルの蓄積が正常な共生関係の維持に必要なことを明らかにした。
多くの細菌が糖や油脂を栄養源として、大量のPHA(時に乾燥重量の90 %以上)を合成して貯蔵炭素源として細胞内に蓄積し、飢餓や環境ストレス下での生存に備えることが知られている。一方でPHAはバイオプラスチック原料として注目されてきた。昆虫と細菌の共生関係の維持にPHAが関わるという今回の新たな知見は基礎生物学的に興味深いだけでなく、バイオテクノロジーと微生物共生の間の予想外の関係などへの展開を期待させる。
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