JAMSTEC,原発事故1か月後には太平洋の深海まで放射性セシウムが到達していたことを明らかに

海洋研究開発機構 地球環境変動領域チームリーダーの本多牧生氏と,むつ研究所技術研究主任の川上創氏らは,福島第一原子力発電所事故によって大気中に放出された放射性セシウムが,事故の約1か月後には西部北太平洋の深海まで到達していたこと,ただしその到達量は海洋表層に到達した放射性セシウムの1%以下であり,ほとんどの放射性セシウムは海水に溶存していることを明らかにした。

この成果は,同機構が2001年から行なってきた「海洋における物質循環に関する調査研究」における定点観測データに基づく成果であり,事故に伴う放射性物質の放出前後で沈降粒子中の放射性物質を観測した世界で唯一のもの。

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同機構は今後,西部北太平洋の様々な場所で,より長く,より多くの海洋試料中の放射性セシウムを測定する事により,放射性セシウムの移動・拡散状況,海水による希釈速度,海底堆積物への堆積・再懸濁状況,さらには放射性セシウムの粒子としての存在形態,などをより詳細に解明していく。これらの観測結果は数値シミュレーションによる福島原発事故で放出された放射性物質の時間的拡散予測精度の向上と,それによる環境への影響予測の向上に寄与することが期待される。

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