京都大学 霊長類研究所准教授の友永雅己氏,東北学院大学元教授の田多英興(ただ ひでおき)氏,仁愛大学教授の大森慈子氏,岡山大学教授の廣川空美氏,名古屋大学教授の大平英樹氏らの共同研究グループは,71種におよぶ霊長類が自発的に行う瞬目(まばたき)行動をビデオ記録し,その頻度などを詳細に解析した。
その結果,これらの霊長類の自発的なまばたきの頻度は,それぞれの種の平均集団サイズが大きくなるにつれて増えることが分かった。集団のサイズは,社会行動の複雑さを示す指標として捉えることができる。したがって,今回の結果は,霊長類がまばたきを単に眼球表面の乾燥を防ぐなどといった生理的な理由で行なっているだけではなく,積極的に社会的なコミュニケーションに利用している可能性を示している。
これまでも,視線などといった目を介したコミュニケーションに関する進化的な議論が数多くなされてきたが,まばたきもまた,同様の機能を持っている可能性を示す結果。このことは,人間のコミュニケーションやこころの進化を考える上で,極めて興味深い視点を与えてくれるものと期待される。
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