ロームと燃料電池開発ベンチャーのアクアフェアリーは,京都大学より技術的な支援を受けながら,固体水素源を用いた小型,軽量,高出力の水素燃料電池の開発を進め,先ごろ本燃料電池の事業化に向け,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から実証試験を行なうための助成を受けることになった。今後,市場への早期導入を目指し,固体水素源燃料ユニットおよび対応する燃料電池の仕様策定を加速するとともに,それぞれの製造サイド及び実地検証サイドの連携メンバーと共に事業化に向けた実証試験を実施していく。
ローム,アクアフェアリーと京都大学は,昨秋9 月18 日に,従来の携帯用電源と比較して軽量化,高効率化,長寿命化,長期間発電を可能とし,さらに環境負荷の少ない水素燃料電池システムを開発。これらの開発品について潜在ニーズを調査すべく,CEATEC JAPANやElectronica 等の展示会で紹介するとともに官民への営業活動を行なってきた。その結果,世界25 か国,100 以上の反響があり,中でも数100W クラスの軽量・高容量で使いやすい電源に対する希望が多く,特に日本では緊急電源の実現が喫緊の課題であることを確認した。
このような背景から,ロームとアクアフェアリーはNEDO の平成25 年度の課題設定型産業技術開発費助成金に上記実証試験計画の申請を行ない,5 月8 日に採択された。今後2 年間にわたって実証試験を進める。
この事業の実証実験では京都市・秋田県・三重県・島根県・京都府の各自治体も参加。避難所などの現地にて災害時の緊急電源としての有用性,費用対効果,改善点等を確認の上,2015 年を目標に商用化を進め,防災・減災に貢献する。
また,固体水素源型燃料電池の早期の事業化に向けては,部材供給や製造技術開発等,各分野の有力メンバーが協力し,開発アライアンスに参加するとなった。現時点では,燃料ユニットに関しては東洋製罐,東洋エアゾール工業,試作技術に関しては京都試作ネットの各社,デザイン・ブランディングについては工業デザイナーの秋田道夫氏が,プロジェクトチームに参加。開発を進めている。
今後は,今秋を目標にプロトタイプ機を試作し,非常用電源としての基本的な機能を評価の上,来年防災の日にフィールドテスト用の燃料電池を用いて,各自治体で,災害時の緊急電源としての実証試験を行なう予定。