東大、単細胞藻類で細胞が卵になるか精子になるかを決める重要な要因を解明

東京大学大学院総合文化研究科特任研究員の城川祐香氏と教授の嶋田正和氏は、単細胞藻類である珪藻を1細胞レベルで追跡し、個々の細胞状態に応じた性比調節を明らかにした。

生物が、どのような状況で、どちらの性になるとより多くの子孫を残せるかを予想する性比調節の進化は、進化ゲーム理論で最も成功したテーマの一つである。しかし、従来は多細胞生物に研究が集中しており、単細胞生物のそれぞれの個体の性比調節戦略は解明されていなかった。

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この研究では単細胞生物の1つ1つの細胞の有性生殖を計測するために、レーザを用いた微細加工技術により、スライドグラス上に0.1mm四方の微細な小部屋(マイクロチャンバー)を作成し、細胞を閉じ込めて追跡した。

その結果、細胞サイズや周囲の細胞の数が、個々の細胞の雌雄どちらに分化するかにとって重要であることが分かった。また1つの細胞が分裂してできた2つの姉妹細胞は同じ運命をたどりやすく、多細胞生物で報告されてきたsplit sex ratio(娘を多く産する親と、息子を多く産する親に分かれる)にあたる現象が、単細胞生物でも見られることがわかった。

この実験結果は、単細胞生物がそれぞれの個体の状態に応じて行なう性比調節を明らかにした世界初の成果であり、この結果は単細胞生物の性分化分子メカニズム解明や、新たな進化生態学理論構築の基盤となりうる重要な発見。

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