東大、低栄養状態に応答し前駆細胞の活性化を阻害する遺伝子を発見

東京大学大学院薬学系研究科助教の福山征光氏、博士課程大学院生(当時)の春日秀文氏、教授の堅田利明氏らのグループは、mir-235という遺伝子が低栄養状態時に活性化し、前駆細胞が増殖や分化を開始するのを阻止することで、発育を抑制することを明らかにした。

個体の栄養状態は、将来さまざまな組織をかたちづくる幹細胞や前駆細胞に作用し、その結果、発育、組織恒常性、老化の進行などの生理現象に影響をおよぼすと考えられる。しかしながら、栄養状態の変化が、幹細胞や前駆細胞の活動や機能に、具体的に細胞や遺伝子のレベルでどのような作用をもつかについては、不明な点が多く残されている。

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この研究では、ヒトと多くの共通した遺伝子を持ち、幹細胞や前駆細胞の観察と遺伝子操作の容易な線虫を実験モデルとして用いることによって、mir-235を発見するに至った。

ヒトを含む多くの高等動物もmir-235に非常に類似した遺伝子をもつことから、本研究で得た知見を糸口に、ヒトにおける幹細胞や前駆細胞の栄養応答メカニズムについて、遺伝子レベルでの理解がさらに深まることが期待できる。

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