奈良先端大、液体プロセスで酸化物半導体スイッチの動作確認

奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科 情報機能素子科学研究室教授の浦岡行治氏、准教授の石河泰明氏らのグループは、アモルファス薄膜トランジスタのもととなる酸化物薄膜の実現について、従来の研究ではガスを使ったプロセスで500℃以上の熱処理が必要だったところ、液体を使ったプロセスによって、世界で初めて300℃の低温熱処理でスイッチング動作を確認するとともに、約2倍以上(性能を示す電子の移動度が19.5cm2/Vs)の性能を実証した。

この成果のポイントは、酸化物半導体薄膜の形成に液体プロセスを用いる点。従来は、真空装置の中にアルゴンガスを流して、プラズマ状態をつくり、それを原料に衝突させるスパッタ法によって形成していた。

今回、液体材料として熱分解温度の低い材料を用いたことで、低温で形成可能とした。また原料を溶かす溶媒として水を用いることで、炭素などの不純物を非常に低く抑えた。これによって、真空をつくるなど大がかりな装置が不要になるため、製造にかかるエネルギーや製造コストを大幅に削減することが可能となる。

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さらに液体プロセスは、インクジェットなど印刷技術で作ることができる手法であり、プラスチックなどフレキシブルな基板の上にもディスプレイを形成できる可能性が大きくなった。軽くて曲げられるフレキシブルディスプレイの実現は、現在、多くの研究者の目標となっており、その実現が加速する。

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