日立，位置センサを用いず永久磁石モータを低速で安定駆動可能な制御技術を開発

日立製作所は，永久磁石モータ（ブラシレスDCモータ）の駆動に必要となる位置センサを用いず，停止・低速状態から素早くモータを起動させ，高いトルクで駆動できる制御技術を開発した。

この技術により，永久磁石モータの位置センサが必要なくなり，モータの小型化や据付・メンテナンス作業の簡略化を図れる。また，低速状態から短時間で高いトルクを出せることから，コンベアや昇降機などへの応用も可能。モータの構造や磁石の材料などに関らず適用でき，レアアースを用いないアキシャルギャップ・アモルファスモータの駆動も確認した。

一方，現在実用化されているセンサを用いない制御技術は，低速回転時に十分なトルクが出にくいという課題があり，用途が限られている。またモータの起動時に，トルクを出すために電流を多く流す必要があり，無駄なエネルギーを消費していた。

今回開発した技術は，回転子に取り付けられた永久磁石の影響によって，巻線のインダクタンスが微小に変化することを利用し，回転子の位置を検出するもの。巻線のインダクタンスの変化は，モータの起電圧の変化として観測することができるため，この起電圧の値から逆算して回転子の位置検出を実現した。