日立,放射性セシウムと放射性ストロンチウムを99%以上同時に除去できる吸着剤を開発

日立製作所と日立GEニュークリア・エナジーは共同で,水中に溶解した放射性セシウムと放射性ストロンチウムを同時に除去できる吸着剤を開発した。この吸着剤は,福島第一原子力発電所で発生する放射性物質を含む滞留水の処理への適用をめざして開発したもので,従来の半分の吸着剤で,セシウムとストロンチウムを99%以上の高い除去率で同時に除去することができる。

セシウムとストロンチウムは元素周期律表で属する族が異なり,水中に溶解した際の電荷やイオンの大きさが違うため,セシウム,ストロンチウムを吸着剤で除去する場合,これまでセシウム用,ストロンチウム用のそれぞれ異なる種類の吸着剤を使用する必要があった。

また,滞留水に含まれる海水成分のナトリウム,カルシウムは,それぞれセシウム,ストロンチウムと化学的性質が類似しており,同様に吸着剤に吸着されるため,従来の吸着剤は海水条件でセシウム,ストロンチウムの吸着性能が低下する傾向があった。

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今回,吸着剤にチタン酸塩化合物に特殊処理を施したことにより,セシウム,ストロンチウムに対する優れた選択性と吸着能力を示し,かつ高い除去率を得ることができるようになった。滞留水の組成を模擬した水からセシウムとストロンチウムを除去する実験により,吸着剤体積の3,000倍の量の水からセシウムとストロンチウムを99%上除去できることを確認した。この吸着剤を適切に用いることで,従来よりも簡便に処理水から放射性セシウムと放射性ストロンチウムを除去することができ,厚労省の飲料水の新基準値(10Bq/L以下)を満足させることもできる。

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