東大、熱性けいれん重積後の急性脳症を発症しやすい遺伝的素因の解明

東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻発達医科学分野教授の水口雅氏、助教の齋藤真木子氏らの研究グループは、アデノシン A2A 受容体遺伝子の多型がけいれん重積型(二相性)急性脳症の遺伝的背景であることを明らかにした。

この型の急性脳症は日本人小児にしばしば生じ、熱性けいれん重積に続いて意識障害をきたし、後遺症として知的障害、運動麻痺やてんかんなどを残す。現状では発症早期の診断・治療が確立していない。

アデノシンは体内の信号物質(神経修飾物質)で、複数の受容体に結合して作用を発揮する。脳の中には A1 受容体と A2A 受容体があり、A1 には神経細胞の興奮を抑制、A2A には促進する作用がある。

本研究により、急性脳症の発症に A2A 作用の亢進、つまりアデノシンを介した細胞内情報の変化が関わっていることが明らかになったので、今後、急性脳症の新しい薬物治療を開発する際の標的分子が明確になった。

詳しくはこちら