東大、ストレスを腸が関知して体を健常に保つ仕組みを解明

私たちの体が健常な状態を維持できるのは、常に受ける様々なストレスに個体が巧みに応答しているから。組織が傷害を受けると、炎症を含む全身性のストレスが体に生じる。

東京大学大学院薬学系研究科教授の三浦正幸氏、研究員の武石明佳氏らは、理化学研究所チームリーダーの倉永英里奈氏と共同で、創傷ストレスに応答して体を健常に保つ仕組みとして、腸による全身性ストレスの受容とそれに引き続く腸幹細胞の活性化による細胞の再生が重要であることを解明した。

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ショウジョウバエを使った今回の成果により、外界からのストレスを腸が感知してストレス応答し、ストレスセンサーとしての役割を果たした腸上皮細胞は速やかに細胞死をおこすこと、その際に幹細胞の増殖を促して、細胞数に過不足のない腸上皮再生と個体の生存を維持していることが示された。

傷害部位から離れた場所の幹細胞が活性化して再生を促すこの仕組みは、脳虚血後に成体脳にある幹細胞が活性化され、脳の修復が促される現象とも似通っている。

今回、全身性ストレスの応答によって組織幹細胞の活性化を促すことが、健常な体の恒常性維持に重要であることが初めて明らかになった。この発見を糸口に、全身性ストレス応答と幹細胞活性化をつなぐ分子メカニズムの遺伝学的な解明が期待される。

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