住友電気工業は,量産品の伝送損失典型値を改善した「Z-PLUS Fiber ULL」と,さらにその実効コア断面積を拡大した「Z-PLUS Fiber 130 ULL」を開発した。
現在,スマートフォンなどの急速な普及に伴うインターネット通信量の増加に対応するため,光通信システムにはさらなる大容量化が求められている。大容量化の有効な手段の一つとして,デジタルコヒーレント通信技術の導入が進められているが,この技術では,伝送損失が小さく,実効コア断面積(光が伝搬する部分の断面積)が大きな光ファイバが必要とされている。
今回,20年以上の実績を有する純石英コア光ファイバの量産技術と,新たに開発した低損失化技術を組み合わせることで,世界記録となる0.149dB/km(波長1550nm)の光ファイバの開発に成功。これは同社の持つ世界記録を11年ぶりに更新するものとしている。
この技術により,現行の「Z-PLUS Fiber」の伝送損失典型値0.16dB/kmを0.154dB/kmまで改善した「Z-PLUS Fiber ULL」と,さらにその実効コア断面積を標準的な光ファイバ対比約1.6倍にまで拡大して高光入力に対応させた「Z-PLUS Fiber 130 ULL」の2つの新製品を開発し,この4月から出荷する。
「Z-PLUS Fiber ULL」と「Z-PLUS Fiber 130 ULL」は,急速に普及が進む高速大容量デジタルコヒーレント通信技術に最適な光ファイバで,特に海底光ケーブルシステムでは伝送容量の増大,伝送距離の延長だけではなく,高価な光増幅中継器の台数削減によるシステム総コスト削減にも貢献するものと期待されている。
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