理研と日医大、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪に関与するタンパク質を同定

理化学研究所と日本医科大学は、自然免疫細胞で作られ、糖鎖を認識するタンパク質「Siglec-14(シグレック14)」の有無が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪の起こりやすさに関与することを発見した。これは、理研基幹研究所ケミカルバイオロジー研究領域システム糖鎖生物学研究グループチームリーダーの安形高志氏、グループディレクターの谷口直之氏らと、日本医科大学呼吸ケアクリニック特任教授の木田厚瑞氏、講師の石井健男氏らによる共同研究グループの成果。

130325riken1

Siglec-14タンパク質がCOPD増悪に関わる細菌と接着すること、Siglec-14タンパク質をコードするSIGLEC14遺伝子の型によりこのタンパク質を持つ人と持たない人がいることに着目し、SIGLEC14遺伝子の型がCOPD患者の「増悪しやすさ」に影響するかどうかを検討した。具体的には、135人のCOPD患者のSIGLEC14の遺伝子型を解析し、1年間の増悪の回数を調べた。その結果、Siglec-14タンパク質を持たない遺伝子型の患者は、このタンパク質を持つ遺伝子型の患者に比べて、年平均の増悪頻度が4分の1以下であることを突き止めた。

この結果は、SIGLEC14の遺伝子型を基に増悪の起こりやすさを判定することで医療の個別化(オーダーメイド医療)が実現できることを示唆。今後、Siglec-14タンパク質を起点とする一連の免疫細胞の活性化を抑制することにより、COPD増悪の新たな治療法開発につながると期待できる。

詳しくはこちら