富士通,フタル酸エステルの含有を判別できる簡易手法を開発

富士通研究所と富士通,富士通クオリティ・ラボは,有害性が懸念されるフタル酸ビス(2-エチルヘキシル:DEHP)などのフタル酸エステル類の,塩化ビニル(PVC)中の含有を従来に比べ10倍以上の高感度で判別できる手法を開発した。

近年PVCを柔らかくする可塑剤として使用されるフタル酸エステル類のうち最も生産量が多いDEHPなどは有害性が懸念されており,日本・米国・EUにおいて,玩具や育児用品への使用が規制されている。

今回開発した手法は,試料を加熱することで,含有しているフタル酸エステル類などの可塑剤成分を蒸発させ,添加物を含まない金属板上のPVC膜に捕集する手法。これにより,PVC膜に可塑剤成分を濃縮するとともに,試料中の着色剤などの添加物の影響をなくすことができる。また,金属板上の薄いPVC膜を測定するため,ATR法よりもさらに安価な装置である,金属反射法のFT-IRを適用することが可能になった。

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その結果,フタル酸エステル類を1wt%程度含有する試料でも,蒸気捕集法を適用することで検出でき,従来よりも10倍以上の高感度でフタル酸エステル類の含有を判別することを可能にした。

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