山形県工業技術センターと有機エレクトロニクス事業化推進センターは,目視や画像処理による各種試料の外観検査用として,有機ELパネルをメッシュ状にした「OLEDメッシュパネル」を開発した。
このパネルに採用している電極はアルミ製で,従来の外観検査に比べて微細なパターンが明瞭に観察できるという。また対象物と近い距離であっても均一に照射され,中央部の照明欠落がないため,微細パターンが正確に識別できるとしている。このメッシュパネルは透明部と微細発光部を持つ構造となっていて,非発光面側から見ると対象物が透明部を通して判別できるが,発光面側からは微細発光により見ることができない。
従来の外観検査ではCCDカメラを用いるが,対象物に当てる照明にはランプやLED光源が採用されている。一般の外観検査では影が発生し,対象物が光沢のある金属の場合には輝点が発生するなど露出オーバーになることが指摘されている。また,LED光源の場合にはハーフミラーが必要になる。これに対し,メッシュパネルでは装置の小型化に寄与するとともに,影が発生せず,光沢金属でも表面を詳細に観察することができるという。
有機EL照明は一般照明用途だけでなく,こうした産業応用への展開も期待されており,今後の実用開発の動向が注目されている。