東京大学大学院医学系研究科の菅谷佑樹助教と狩野方伸教授らは,内因性カンナビノイドと呼ばれる脳内の大麻様物質の一種である2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)が匂いや空間に対する馴化を制御するメカニズムを明らかにした。
2-AGの合成が低下するように遺伝子改変されたマウスは匂いや空間に早く馴化し,神経細胞間の情報伝達が増強されやすくなっていた。 さらに,遺伝子改変マウスの馴化と神経細胞間の情報伝達の関係を調べたところ,2-AGが海馬歯状回の興奮性を低下させシナプス伝達の変化を抑えることで馴化を遅延させるというメカニズムが明らかになった。
内因性カンナビノイドは統合失調症や自閉症,依存症との関連が示唆されている。 最も単純な学習である‘慣れ’に関してマウスで見出された本研究の成果は,これらの精神疾患の学習・適応能力の理解につながる可能性があると考えられる。
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