月刊OPTRONICS 特集序文公開

パワーレーザーによる有害飛翔物除去 —害虫駆除から宇宙デブリ除去まで—

1.はじめに

レーザー光源の高出力化,高効率化,発振波長域の拡大,超短パルス発生によりレーザーの応用市場が急拡大するとともに新たな応用が創出されている。ここに来て大きく市場拡大を期待されているのはパワーレーザー(ここでは平均出力1 W以上のものとする)応用である。図1 は光出力をパラメータにしたレーザーの産業応用である。

もともとパワーレーザーは安全性を考慮し,主として閉鎖空間で使用されていた(特にレーザー加工など)。最近,レーザーディスプレイ,レーザー照明などでは光出力10 ~100 Wのレーザーが開放空間照射されており,新たにセンシング,AIとレーザーの融合で開放空間への照射応用が広がりつつある。走査型をベースとしたレーザー空間照射応用が,避けて通れない課題が,走査時のレーザー光に対する安全性確保である。

LiDARなどのセンサー,カメラによる人間検出が行われた場合に光出力を制限するという安全対策導入の議論が国際標準IEC60825の技術委員会TC76で始まっている。空間を飛翔する有害物に対してレーザーでの除去を試みる研究開発が行われている。害虫,害鳥,宇宙デブリなどの有害飛翔物の平均飛翔速度を表1に示す。なお熊については飛びかかって来る際の速度としている。

蛾など低速で不規則に飛翔するものから,高速で直線運動する飛翔物もレーザーを用いることで除去可能である。本稿では,パワーレーザー空間照射による新たな応用として有害飛翔物除去,具体的には害虫駆除から宇宙デブリ除去までを紹介する。

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