浜松ホトニクスは,世界最高の耐光性能を実現した,放熱タイプの空間光位相変調器(LCOS-SLM:Liquid Crystal On Silicon – Spatial Light Modulator)を新たに開発した(ニュースリリース)。国内外のレーザ加工機メーカーに向けて5月8日から販売を開始する。価格は190~210万円。
耐光性能を従来の40W/cm2から210W/cm2以上まで高めることで,100W級のハイパワーレーザを用いたレーザマーキングなどのレーザ加工への応用が期待される。なお,この製品は,4月19日(水)からパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される光技術総合展示会「OPIE’17」内の,国内外のレーザ製品が一堂に会するレーザ技術総合展「レーザーEXPO 2017」に出展する。
近年,さらにレーザービームの分岐数を増やし生産効率をより高めるため,ハイパワーレーザーに対応したLCOS-SLMへの要求が高まっている。しかし,LCOS-SLMにハイパワーレーザーを照射すると,光の吸収により温度が上昇し液晶の特性が劣化してしまうという課題があった。
この製品は,放熱効率の向上および発熱の抑制により温度上昇を最低限に抑え世界最高の耐光性能を実現した,ハイパワーレーザーを用いたレーザーマーキング向けの放熱タイプのLCOS-SLM。水冷型ヒートシンクを採用するとともにミラーの設計を工夫し反射率を向上させ,さらに同社独自の設計のノウハウ,製品特性のデータを生かし,全体の設計を最適化した。
この結果,同社従来品と同等の性能ながら温度上昇を10分の1に抑え,世界最高の耐光性能を実現している。この製品を組み込んだレーザー加工機とハイパワーレーザーを用いることで,レーザービームの分岐数を増やしながらも対象物の加工に必要な光量を維持できるため,従来品の LCOS-SLMを用いた加工に比べ生産効率を向上させることができる。
今後は,さらに耐光性能を高め,溶接用途向けのより出力の高いハイパワーレーザーにも対応していく。また,微細な加工で使用される短い波長のレーザーに対応する製品も開発していくとしている。