住友電気工業と佐賀県地域産業支援センターは,同センターが管理運営する佐賀県立九州シンクロトロン光研究センターにおいて,住友電工グループが材料分析を行なうためのビームライン(実験ステーション)を設置することで合意した(ニュースリリース)。
放射光は,赤外線からX線までの波長からなる極めて明るい光で,特にX線は市販のX線源に較べて1万倍以上の強度であるため,従来は不可能であった高精度・高感度分析が可能となる。
同社では,これまで大型放射光施設SPring-8をはじめとした国内外の放射光施設を用いて,半導体,合成ダイヤ,高温超電導材など各種材料の基礎検討やデバイス,線材,切削工具,二次電池などの製品開発,さらには,希少金属リサイクル技術の実用化など,広範囲な分野に放射光を活用してきた。
材料やデバイスに機能をもたらす電気的や機械的等の特性は,材料を構成する原子分子の種類や結合状態によって決まるため,今後の革新的な製品の創出には,原子レベルの評価技術がますます重要となり,放射光を用いた原子分子レベルの分析技術の利用の拡大が期待されている。
こうしたことから,同社グループは常時使用可能なビームラインを設置する準備を進め,ビームライン機器の設計が完了し,佐賀県地域産業支援センターとの間でビームライン設置に関する契約締結に至った。
なお,このビームラインは2016年度に運用を開始する予定。