富士キメラ総研は,2014年6月から10月にかけて,世界市場を対象にディスプレイとタッチパネル,それらのアプリケーション,さらに関連部品・材料市場の調査を実施した(ニュースリリース)。
それによると,2014年の市場は,依然としてスマートフォン,車載向けが好調で,そのほかのアプリケーション向けは低調であったが,全体としては,前年比1.4%増の11兆4,691億円が見込まれるという。特に,法規制等で需要が拡大している車載ディスプレイ向けが市場のけん引役となっている。また,スマートウォッチ,スマートグラスの量産化で需要が増加し、市場はさらに拡大するとみられるとし,2019年には14兆1,267億円を予測した。
■LCD
2014年の市場は前年比2.6%増の10兆5,285億円が見込む。TFTはTVとスマートフォン向けパネルで大型化と高精細化が進んでおり,市場をけん引している。また,TN/VAは車載ディスプレイ向けや産業機器向けで堅調な需要が続いている。
■OLED
2014年の市場は8,304億円を見込む。TV向けは,2014年にLCD4Kパネルの低価格化が進んだため,本格化は遅れるとみる。スマートフォン向けは,ハイエンド機種での採用が鈍化しており,ミドルレンジ,ローエンドヘの展開が進んでいる。また,スマートウォッチ向けでプラスチック基板を使用したAMOLEDの採用が進んでいる。
■電子ペーパー
2014年の市場は前年比21.9%増の769億円を見込む。2011年まで市場をけん引してきた電子書籍リーダー向けは,2012年に減少し,その後増加に戻るがその伸びは緩やか。一方,電子棚札向けの需要が急増している。その他,医療・ヘルスケア機器や物流管理システム向けなどでも需要拡大が期待されるという。
■NearEye用マイクロディスプレイ
電子ビューファインダー(EVF)向けを中心に市場が形成されたが2012年以降減少している。2013年にはミラーレス一眼カメラなどのハイエンド機種での採用は増加したものの,EVF向けの減少が続いており,2014年の市場は縮小を見込む。しかし,スマートグラス,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)向けは,数量は少ないものの,参入メーカが増加し,さらに今後「Google Glass」(Google)の量産化によって市場は拡大が期待され,2019年には2013年比6.4倍を予測する。
■ディスプレイ関連部材の世界市場
2013年はLCD,OLEDともにパネルサイズアップに伴い数量ベースで拡大したため,関連部材の市場も多くの品目で順調に拡大した。しかし,ガラス基板、表面処理フィルムなど単価下落が大幅に進んだ品目はマイナスとなった。
2014年はこれまで材料市場の拡大を支えてきたTVやタブレット向けTFTの伸びが鈍化しており,LCD関連部材の成長は緩やかになるとみる。また,OLED関連部材もスマートフォン向けAMOLEDの成長鈍化によって伸びが鈍ることから,市場は前年比2.1%増の5兆3,810億円を見込む。しかし,2016年以降はTVやタブレット向けAMOLEDの生産が本格化するとみて,市場の拡大をけん引するとしている。
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