車載向け視線入力機器市場,2030年には2013年比102倍となる1,020万台に

富士キメラ総研は,自動車における次世代の有望技術の動向を調査し,その結果を「2014次世代カーテクノロジーの本命予測」にまとめた(ニュースリリース)。

自動車に関する革新的な技術や,民生用などで採用が進む技術の自動車への応用製品が開発されているが,技術が複雑になっていたり,高価格のデバイスや材料を使用する必要があったり,安全を重視する自動車に搭載するには信頼性に欠けていたりと,いくつかの課題が要因となり採用が進まないことが少なくない。

とは言え,従来は搭載が限定されてきた技術が,構成部品の見直しや機能の絞り込みなどにより,普及を阻害していた課題点をクリアすることで,一気に本命技術として搭載が進む場合もあり,自動車を取り巻く技術動向はさまざまな要素を含んでいる。

この報告書では,自動車において点在する有望技術がどのような課題に直面しているのか,競合する技術との相違点は何か,それらの技術が共存して発展していくのかなどを整理し,2020年代の技術動向を明らかにするため,市場の現状を分析し今後を予測している。

ここでは,期待されるカーテクノロジーの一つであるハンズフリー操作技術として,視線入力と音声認識を対象とした調査をしている。視線入力は,赤外線LEDとカメラの組み合わせで黒目の動きを検知し,カーナビなどの入力作業を行う視線入力モジュールに加え,眼球運動やまぶたの動きなどをモニタリングし,ドライバーの状態を測定する居眠り防止機能が対象。

居眠り防止機能は一部車種で搭載されており,2013年の搭載車両の販売は10万台となった。視線入力については,検知精度の問題や通常時と検知時の切り替え,誤動作時のリカバリーなど,入力装置としての課題があるため,まだ普及には至っていない。

2020年代に入ると,視線検知モジュールの搭載率が上昇し,入力装置としての利用も始まるとみられるため,2030年の搭載車両の販売は1,020万台が予測される。日本では,居眠り防止機能の搭載が拡大し,搭載比率は3割を超えると予測している。

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