東芝,貼付け型ウェアラブル生体センサを製品化

東芝は,人体に貼り付けて,心電位,脈波,体動,皮膚温を測定する生体センサ「SilmeeTM Bar type」を製品化し,大学・研究機関・企業向けに9月から国内で販売を開始すると発表した(ニュースリリース)。また,同社は制御・通信を行なうインタフェース仕様をパートナーに提供し,多様な応用システム・サービスの開発をサポートする。

同社は昨年3月に,ヘルスケアサービス用インテリジェントセンサモジュール「Silmee」を開発しているが,新製品は「Silmee」の基本的な機能はそのままに,バッテリーの強化や信頼性の向上を図るなど,製品化にあたってブラッシュアップを行なっている。

新製品は,ゲルパッドで胸部に貼りつけることで,心電位・脈波・体動・皮膚温という生体情報を同時に連続計測できる防水小型のウェアラブル生体センサ。計測したデータを元に,心拍間隔,脈波間隔,体動量,姿勢を算出し,Bluetoothを介してスマートフォンやタブレットに結果を表示する。脈波の検出には緑色LEDを用いている。

新製品の活用事例の一つとして睡眠の質の解析がある。現状,睡眠の質を解析するためには,頭部や体に多数の電極を貼りつけて一晩眠りながら,脳波,呼吸,体動,眼球などを計測する大規模な検査が必要。新製品は,胸部に一つ貼りつけるだけで,心拍間隔・脈波間隔の変動データを元に自律神経解析を行なうことができ,更にその結果に基づき睡眠の質,リズムなどの解析を行なうことができる。

この製品は,その他にもヘルスケアの様々な用途で活用できる可能性を有している。大学・研究機関・企業等において新製品が活用され,様々な実証実験・研究が進むことでこの製品ががテレヘルス(遠隔医療)時代に向けたキーデバイスとなることを目指す。

同社は,安心・安全・快適な社会「Human Smart Community」の実現への貢献を目指しており,東芝グループ全体でヘルスケア事業を積極的に展開している。特に「予防」「診断・治療」「予後・介護」「健康増進」の4事業分野を強化し,2015年度に6000億円の売上を目指す。

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