クラレのプラスチックシンチレーションファイバ,繊維学会技術賞を受賞

クラレのプラスチックシンチレーション光ファイバ(PSF)が,平成25年度「繊維学会技術賞」を受賞した(ニュースリリース)。「繊維学会技術賞」は,一般社団法人繊維学会が主催するもので,繊維に関する優れた技術を開発し,繊維工業の発展に貢献した会員を対象として,その功労を顕彰するもの。

PSFは,コアが蛍光剤入りのポリスチレン樹脂,クラッドがメタクリル系樹脂とフッ素樹脂の二重構造になっているプラスチック製光ファイバ。放射線が当たると光るという性質をもち,放射線検出用素材として20年以上の使用実績がある。今回の受賞は,独自製法により高性能PSFを実用化したことと,同製品を世界中の研究施設で使用されるまでに成長させ,ヒッグス粒子の発見など,素粒子物理学の発展に貢献したことなどが評価された。

PSFは近年,物理学の世界において,物質の最小単位を捉える「素粒子の眼」として国内外の研究機関に導入されている。同社はヒッグス粒子を発見したCERNのLHCに加え,CERNと並ぶ世界最大級の高エネルギー加速設備を持つ米国の素粒子研究所「フェルミ国立加速器研究所」と「トーマス・ジェファーソン国立加速器施設」からも,ニュートリノとクォークの検出用としてPSFを受注している。