三菱電機,風力発電向けの風計測レーザライダを開発

三菱電機は,風力発電所設置時の発電量の予測精度を向上する風計測レーザライダを開発した(プレスリリース)。このライダは,再生可能エネルギー技術の研究機関であるオランダエネルギー研究センター(ECN)での第三者評価試験において,風力事業への導入基準をクリアすることが2014年4月に承認された。

風力発電所を設置する場合には事前に風況調査を行なうが,従来は風況観測マストを建設し,それに取り付けたカップ式風速計による調査を行なっていた。しかし,カップ式風速計は一地点の風のみの計測に留まり,さらに風車の大型化に伴い風況観測マストの建設費用が増加するという課題があった。

レーザ光により地上から上空風を遠隔観測するレーザライダは,風車のローター面を含む全高度の風を計測できるため風車の発電量の予測精度が向上するほか,風況観測マストが不要となるため費用の大幅な削減が可能となる。

開発品の特長として,同社は以下を挙げている
①耐環境性能の向上などにより,洋上などへ運用範囲が拡大
・耐水性IP67相当と耐温性マイナス20℃を実現し,耐環境性能を向上
・ジャイロ搭載により耐動揺性を確保し,浮体式洋上風力発電への活用が可能
②省エネ・小型化により,運用負荷を低減
・定常時消費電力100W以下,重量60kg以下を実現し,運用負荷を低減
③ECNによる第三者評価試験で性能承認
・計測の基準となっているカップ式風速計との比較で誤差1%以下を承認
・欧州を代表する洋上風力研究開発プロジェクトNORSEWInD で要求されているライダの仕様条件をクリア
・ライダ稼働中のデータ取得率95%以上をクリア

国際エネルギー機関(IEA)ではライダの国際標準化に向けた動きも本格化するなか,同社は今回の開発により,世界中で高まるライダ導入の期待に応えるとしている。