KEK,イリジウム化合物が示す新奇な磁性を発見

大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)の研究グループは,物質・材料研究機構(NIMS)らと共同で,ミュオン・スピン回転法という分析方法を用いて,レアメタルの一種であり,原子番号が大きな遷移金属であるイリジウムの化合物のひとつ,Cu1-xZnxIr2S4の新たな磁気的な性質を発見した。

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これは従来非磁性状態と信じられていたCuIr2S4が,実際には約100 K(-173℃)以下の低温で新奇な磁性を示すこと,またその磁性がわずかな亜鉛の置換により急激に消失することを発見したもの。

この新奇な磁性相では,イリジウム磁気モーメントの大きさが通常の10分の1以下に減少するとともに,その向きについても強い乱れを伴っており,結晶構造だけからは予想できない磁気的フラストレーションを伴っていると考えられる。

今回の結果は,従来CuIr2S4で見落とされていたスピン・軌道相互作用の重要性を初めて実験的に明らかにするとともに,この物質が遷移金属におけるスピン・軌道相互作用の新たな研究の舞台となることを示したものとして,今後の進展が期待される。

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