京大、ヒトiPS細胞から効率/再現性の高い筋肉細胞を作製することに成功

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)講師の櫻井英俊氏、名古屋大学医学系研究科大学院生(CiRAにて学外研究)の田中章仁氏らの研究グループは、ヒトiPS細胞から、これまでの手法より短期間で効率よく、さらに再現性高く筋肉細胞を作製することに成功した。

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これまで、ヒトiPS細胞やES(胚性幹)細胞から筋肉細胞を作製する試みはあったが、効率が高くない上に再現性が低く、同じ手法を用いても、細胞株が変わると筋肉細胞の出来具合が変わってしまうという問題を抱えていた。

この研究では、細胞の運命を骨格筋細胞へと変えることが知られている転写因子MyoD1を、ヒトiPS細胞に発現させ、約90%近くの効率で骨格筋細胞を作製することに成功した。また、この手法により1人の三好型筋ジストロフィー患者さんのiPS細胞2株から筋肉細胞を作製し、シャーレ上で、細胞膜の修復異常の病態を確認した。

さらに、三好型筋ジストロフィー患者では膜タンパク質の一種であるジスフェリン異常が知られていることから、三好型筋ジストロフィー患者さんのiPS細胞でジスフェリンを過剰発現させながら骨格筋細胞を作製すると、細胞膜の修復異常が緩和された。

今回確立した筋肉細胞への分化方法を利用することにより、安定的に筋肉細胞を得ることができ、細胞膜の修復を検出する系も確立できたことから、今後、創薬への応用が期待される。

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