平素はニューセラミックス懇話会に対しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、 2023年2月28日(火曜日)に 「第48回ニューセラミックスセミナー」を大阪産業創造館で開催する運びとなりましたので、ここにご案内申し上げます。
今回のセミナーでは、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)およびプロセス・インフォマティクス(PI)に焦点を当てたこれからの材料開発、プロセス開発をテーマとし、「マテリアルズ・インフォマティクスによるものづくり -基礎と材料・プロセス開発への応用-」と題して開催します。一般に、セラミックス等の研究開発において、実験を主体とされている材料開発者には敷居の高い分野であると思われますMIやPIに関する基礎から応用に関する内容のセミナーになっています。
MIやPIは、蓄積されたデータや人工知能(AI)を利用して、膨大な情報から必要な情報を抽出し(データマイニング)、新材料の開発に応用する材料科学と情報科学の融合した学問分野であると言われています。これまで、新材料やプロセス技術の開発には、長時間を要し、研究者や開発者の「経験」と「直観」に依存するところが大きいと言われてきました。このような従来型の材料開発に、近年、劇的に発展してきたAI等の情報科学を組み合わせると、材料やプロセス開発の効率化、加速化が可能となり、開発時間とコストの大幅な低減が期待されます。アメリカや欧州ではMIに関する大規模なコンソーシアムが立ち上がり、この分野への取組は世界的な潮流になっています。日本においても、多くの公的研究所や大学で新材料や新プロセスの開発を目標にMIやPIに関する研究開発が活発に進められています。
セミナーでは、MIやPIの基礎から、半導体、窒化物、酸化物、熱電材料の開発および粒界解析への応用について講演して頂きます。
セミナーに参加して頂いた皆様にとり、MIやPIによる新材料やプロセス開発に関する最新動向や課題あるいはビジネスチャンスについての有意義な内容になっています。
講演会終了後には、講師の先生方との名刺交換会(※)を予定しています。講師の先生方、参加された皆様方相互の交流を深めて頂くことにより、ホットな話題や情報が得られるものと期待しています。この機会に、多くの他分野の方々ともネットワークを広げて頂きたいと思います。
皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げます。
ニューセラミックス懇話会
会長 和田 隆博
行事担当委員長 棚橋 一郎
プログラム:
10:00~10:05 開会挨拶
10:05~10:55 講演(1) 第一原理計算とデータ科学の連携によるマテリアルズデザイン
大阪大学 大学院基礎工学研究科 スピントロニクス学術連携研究教育センター特任教授 小口 多美夫 氏
研究開発の加速化を狙って科学・工学の多くの分野においてデータ科学との連携がはじまっています。物質科学の分野においても、マテリアルズインフォマティクス(MI)とよばれる取組が数多く見られるようになりました。しかしながら、実験的な手法によるデータの蓄積にはいくつかの課題があり、第一原理計算によるデータ生成が活発化しています。ここでは、MIの簡単な概要を述べた後、我々の最近の取組を紹介します。
11:05~11:55
講演(2) 材料プロセスインフォマティクスの取組みと展望
理化学研究所 革新知能統合研究センター
研究員 沓掛 健太朗 氏
機械学習や最適化に代表される情報科学技術を材料開発に応用したマテリアルズインフォマティクスが大きく盛り上がっています。素材合成(何を作るか)に関する研究開発が先行していましたが、材料プロセス(どう作るか)への応用研究も着実に進展しています。本講演では、半導体結晶作製の実験およびシミュレーションデータを用いた事例を紹介しながら、材料プロセスへのインフォマティクス応用の特徴と難しさ、展望を議論します。
11:55~12:50 昼食休憩
12:50~13:40 講演(3) 第一原理計算による窒化物・酸化物半導体の設計と新材料開拓
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所
教授 大場 史康 氏
理論計算により高精度かつ系統的な材料特性の予測ができれば、一般に難題である新材料の開拓を加速できる可能性がある。我々は無機材料の基礎物性・欠陥特性の高精度・高速予測のための第一原理計算手法の開発を進め、新材料開拓に向けた系統的なデータ生成並びにスクリーニングへと展開している。本講演では、その手法を概説するとともに、窒化物・酸化物半導体のドーピングの設計や材料探索への応用例を紹介する。
13:50~14:40 講演(4) 産総研のデータ駆動型材料研究開発
国立研究開発法人産業技術総合研究所 材料・化学領域
執行役員、材料 化学領域 領域長 濱川 聡 氏
データ駆動型材料研究開発は、材料特性や製造プロセス、シミュレーション等について蓄積したデジタルデータと、人工知能(AI)などの情報科学的手法を活用し、従来では年月のかかる材料開発の高速化やコストの低減を可能とする研究開発の手法の一つです。講演では、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)と製造プロセスデータを活用するプロセス・インフォマティクス(PI)に関する産総研の研究開発についてご紹介します。
14:50~15:40 講演(5) データ駆動型手法による新規熱電材料の発見と実用に向けたデバイス開発
パナソニックホールディングス株式会社 テクノロジー本部 マテリアル応用技術センター
シニアリサーチャー 玉置 洋正 氏
近年の計算科学やデータ科学の急速な進展は、材料開発の在り方自体に大きな変化をもたらしてきた。本講演では、弊社が発見した高性能熱電材料であるN型Mg3Sb2について、DFT計算による探索アプローチ、新たな高性能化メカニズム、及びそのデバイス技術を紹介し、そこで得た知見をもとに、無機材料に纏わるデータ駆動型材料・デバイス開発の今後の展望についても論じたい。
15:50~16:40 講演(6) 機械学習に基づく粒界データ解析
名古屋工業大学 大学院工学研究科
准教授 烏山 昌幸 氏
本発表では、マテリアルズインフォマティクスによる材料データ解析の事例として、機械学習とシミュレーションの融合による粒界データの解析にフォーカスを当てる。結晶構造中の乱れの解析は重要な課題であるが,理論計算による粒界解析は計算量的困難を伴うことが知られている.そこで、機械学習によるデータ駆動モデルを導入することでスケーラビリティの高い粒界解析が可能になることを紹介する。
16:40~16:45 閉会挨拶
17:00~ 名刺交換会(予定)
- 定員:
- 80名(定員になり次第締め切ります)
- URL:
- http://tri-osaka.jp/dantai/ncf/
お問合せ先:ニューセラミックス懇話会 事務局 〒594-1157 大阪府和泉市あゆみ野2-7-1 (地独)大阪産業技術研究所 和泉センター内
TEL: 0725-53-1919
FAX: 0725-53-2332
E-mail:newceramicsf@dantai.tri-osaka.jp