多種多様なデジタルイメージングシステムの開発、普及、地上波テレビ放送の 2011 年完全デジタル放送への移行など画像システムのデジタル化が急激に進んでいる。銀塩写真フィルム、光学カメラが瞬く間にデジタルカメラに凌駕されたことは記憶に新しい。また、画像の送受信やカメラ機能を持つ携帯電話の普及により画像観測時の視環境も極めて多様となった。一方、CGと実画像の融合による新しい画像再現表示も映画、ゲームを中心に広く普及するようになった。このような時代、階調再現性、鮮鋭性、色再現、ノイズ特性ばかりでなく光沢、質感、臨場感等の画質特性やFPDの大型化に伴う動画像特性も画像設計評価において考慮することが重要となった。従って、視覚の諸特性は勿論、画像鑑賞時の疲労なども含めて総合的に画像評価を考えることが要請されている。
本講座では、このような新しい時代の画像の評価、解析について基礎から応用まで筆者らの研究に基づいて講述する。これからこの分野に従事される方はもちろん、すでに実務を担当されており、さらに理解を深めたい方にも、ぜひ受講されることをお勧めいたします。
なお、参考書として、三宅洋一著「デジタルカラー画像の解析・評価」、東京大学出版会,2006年,第 3版)を使用する。
講 師:三宅洋一氏(千葉大学名誉教授)
講義内容:
第1章 マルチメディア時代の画像再現
1.1 画像の形成と評価
1.2 アナログ画像とデジタル画像
1.3 画像関数
1.4 線形画像システム
1.5 画像の照度分布
1.6 画像の色再現
第2章 写真,印刷,テレビ,ハードコピーの色再現
2.1 写真の色再現
2.2 印刷における色再現
2.3 テレビにおける色再現
2.4 ハードコピーの色再現
第3章 デジタル画像の形成
3.1 画像のデジタル化
3.2 デジタルカメラ
3.3 デジタルハーフトーン画像
3.4 ドットゲイン
3.5 LCD と PDP
第4章 色の測定
4.1 分光反射率測定
4.2 表面反射光と内部反射光
4.3 濃度の測定
4.4 変角分光測光
第5章 表 色
5.1 RGB表色系
5.2 XYZ表色系
5.3 均等色空間による表色と色差
5.4 均等色空間での色差
5.5 マンセル表色系
5.6 NCS表色系
第6章 視覚の特性
6.1 視覚系の構造
6.2 網膜の分光感度
6.3 視覚の時空間周波数特性
6.4 順応について
6.5 眼球運動の測定
6.6 錯視
第7章 画像の主観評価
7.1 観測条件
7.2 主観評価と統計的尺度化
第8章 画像の物理評価
8.1 画像の物理評価パラメータ
8.2 階調再現の評価
8.3 鮮鋭度の測定と評価
8.4 粒状性とノイズ
8.5 画像評価用チャート
第9章 異なったデバイス間の色変換
9.1 スキャナーのキャリブレーション
9.2 モニターのキャリブレーション
9.3 ハードコピーへの色変換
第10章 分光反射率の推定とその応用
10.1 分光反射率の測定
10.2 分光反射率の主成分分析 と推定
10.3 分光反射率の Wiener 推定
10.4 色再現シミュレーションへの応用
10.5 マルチバンドカメラの設計
10.6 分光内視鏡への応用
10.7 分光スキャナーへの応用
10.8 BRDF の測定と応用
10.9 3 次元物体の分光画像
第11章 視覚特性に基づく画像再現と評価
11.1 色順応の予測と色再現
11.2 注視情報を用いた色再現
11.3 顔パターンの抽出
11.4 好ましい色再現
11.5 HDR 画像
11.6 Retinex 理論とその応用
第12章 疲労の測定と画像設計
12.1 疲労について
12.2 大型ディスプレイと疲労
12.3 FPD の動画特性測定
- 定員:
- 24名
- URL:
- http://joem.or.jp/jinzai_ikusei.htm#colorgazou
お問合せ先: 一般社団法人 日本オプトメカトロニクス協会 事務局 TEL:03-3435-9321
TEL: 03-3435-9321
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