近年、デジタル画像機器の発展は著しく、画像形成の入口となるレンズの重要性がますます高くなってきています。普及の目覚しいデジタルカメラは言うに及ばず、今や生活の一部となった携帯電話でも、レンズが重要なパーツとなり、しかもそれはズームが当たり前という時代となってきました。そのような状況で光学の世界を眺めてみますと、レンズを設計するツールとしてのソフトウェアは発展、普及が目覚しく、強力な最適化アルゴリズムを駆使して、小型、高性能の光学系を設計することが、容易となってきています。
しかしながら、最近のズームレンズに課せられる目標仕様は極めて高度な内容となってきており、単にツールの扱い方に習熟していれば、目標の設計結果が得られる、というわけには行かなくなっているのが現状です。ズームレンズの場合、目標の仕様を達成するために、いくつのレンズ群をどのように移動させるか、各群の構成をどのようにするか、全ズーム領域に渡って高度な収差レベルを保持することと、小型化や低価格化を両立させるための方策をどうするか・・・など、考察すべき課題が多数発生します。そして、これらの高度な考察や思考がより大きい効果を持つためには、レンズ設計者が、基本事項として、ズームレンズの構造、変倍のしくみ、単焦点レンズにはない収差補正の考え方など、ズームレンズ特有の基本知識を身に付けておくことが必須と思われます。しかしながら、我が国においては、このようなズームレンズの基本を学ぶ場が、極めて限られてきているのが実状ではないかとも思われます。
本講座では、ズームレンズの近軸理論的な部分から、ズームレンズ特有の収差バランスの取り方や誤差に関する考え方などについての基本的な知識、さらに最近のデジタルカメラ用ズームレンズについてのトピックス的事項などに関する講義に加え、計算機を用いた演習を通して、受講者の方々に感覚的に理解していただくことも意図しています。世界に冠たる日本の光学機器・・・、その技術を支えるレンズ設計者の方々に多く受講いただき、日本の技術的地位がさらに磐石のものになることを期待しています。
- 定員:
- 25名
- URL:
- http://www.joem.or.jp/
お問合せ先:一般社団法人 日本オプトメカトロニクス協会 事務局 TEL:03-3435-9321