月刊OPTRONICS 特集序文公開

フォトニック結晶レーザーのスマート製造に向けた展開

1.研究背景

半導体レーザーは,小型・高効率・高制御性という優れた特徴を有するものの,高出力化のために出射面の面積を大きくすると,多モードでの発振が避けられず,ビーム品質が低下するため,高出力化と高ビーム品質化を両立できないという課題を抱えている。その結果,輝度(単位面積,単位立体角あたりの光出力)の増大に限界(最大でも100 MWcm–2sr–1程度)が生じ,高輝度が要求される様々な応用展開におけるボトルネックとなっている。特に,将来の超スマート社会(Society 5.0)を支えるスマート製造やスマートモビリティの発展のためには,光源技術として,半導体レーザーのもつ小型・低コスト・高効率・高制御性という特徴を活かすことが重要であり,その高輝度化が強く望まれている。

以上の背景のもと,高輝度動作を実現可能な次世代半導体レーザーとして, フォトニック結晶レーザー(PCSEL)への期待が高まっている。本レーザーは,光の波長程度の周期的な屈折率分布をもつフォトニック結晶を用いて,二次元面内の光の状態を制御することで,原理的に大面積での単一モード発振が可能となる。そのため,高輝度動作が困難であるという既存の半導体レーザーの課題を克服できる。特に,スマート製造の核となるレーザー加工においては,現状,CO2 レーザーやファイバーレーザーなどの高輝度(≥1 GWcm–2sr –1)ではあるものの,大型・高コスト・低効率のレーザーが用いられていることから,フォトニック結晶レーザーにおいて,これらの大型レーザーに匹敵する高出力・高輝度動作を実現できれば,スマート製造分野のゲームチェンジ(=大型レーザーの一新)が期待できる。本稿では,このようなスマート製造分野への展開に向けた高輝度フォトニック結晶レーザーの最近の進展を紹介する。

【月刊OPTRONICS掲載記事】続きを読みたい方は下記のリンクより月刊誌をご購入ください。

本号の購入はこちら